進級、入園などのこの時期、「みんなと一緒にやって行けるように」という気持ちから「一人でやってごらん」「一人でできるよね」とお子さんに言葉をかけることが増えると思います。
その場面の一つがトイレ。
集団生活を考えて一人で行ってらっしゃい!と促して、早い自立を目指して毎日頑張っている親御さんもたくさんいらっしゃることと思います。
でもなかなか自立に至らないんですよね。
トイレ動作の習慣化、自立は本当に難しい育ちのステップの一つです。
失敗が続いているな、なかなかうまくいかないなと停滞感を感じたり、トイレとなると親子でケンカになるとウンザリ気味になってきたら少し方法転換をしてみるとトイレトレーニングのトンネルを抜けるときのきっかけになるかもしれません。
まずは・・・
「一人でいってらっしゃい」よりは「一緒に行こうね」という働きかけの方がスムーズな場合が多いです。
トイレに一緒に行くことは甘やかすことではありません。
できることは任せる、できないところだけを必要に応じてお手伝いすると言った大人の関わりは甘やかしではなく共同で行う動作なので育ちを促進することにもつながります。
その際もいつも大人が全ての動作をやってあげるのではなく、トイレ動作やあとしまつ、衣服の整え方、手洗い、遊びなどへの戻りまで言葉を添えながら大人が快くお手伝いしてあげることがポイントです。
しぶしぶするお手伝いは子どもが学ぶチャンスを阻害してしまいます。
大人が快く手伝ってくれるからこそ、真似してみよう、やってみようという気持ちが育ち、真似ることから学ぶことにつながるのです。
乳児でもだんだんと一連の流れや動作方法に慣れてくると自然と覚えてくるので、自分でできそうなところに参加するようになってきます。
赤ちゃん時代のおむつ替えで新しいおむつをお尻の下に差し込んだら腰を上げようとする・・・こうしたこともトイレトレーニングの第一歩だったわけです。こんな小さい時からりっぱな自立の姿が表れているんです!
幼児期になってからのトイレトレーニングでも大人が面倒くさがらない、トイレ前後の流れや方法を統一する、子どもの状態に応じてお手伝いを少しずつ減らすというポイントは続けていきましょう。
子どもだけ一人でトイレに行かせる時期を早めすぎると正しく習慣化されないうちに適当に済ませてしまうことが固定されてしまうかもしれません。
誤った習慣を後から修正するのはとても時間がかかり、ストレスいっぱいになるので、ちょっと手がかかりますが、「急がば回れ~」の心意気でしばらくお付き合いしましょう。
子どもの心境としてはなんとなくトイレに入ってきて、それなりにトイレ動作を済ませてきて、「やれやれこれでまた遊びに戻れた!」とほっとしたところで「手を洗ってきたの?」「ちゃんと流してきた?」「お尻はキレイにふけてるの?」とあとからあれこれ言われるのはげんなりするものです。
ある日、保育現場で幼児のお子さんが「そんなに注文つけるならその時に教えてよ~」としょんぼり顔で訴えてきたことがあり、「子どもの気持ちを想像したトイレ動作のお手伝い」の必要性を痛感したことがあります。
頑張って帰ってきたところで「やりなおし~」や「こんなにトイレを汚して何してきたの!」なんてお小言満載になるのはうっとうしいものですよね。
しかもやり直しモードのときはしぶしぶですし、親子のモメごとは発生しがち。うまくいくものもケンカの種になりかねないので、完璧にOKとなるまでは直接のお手伝い段階から言葉かけ、見守り程度のサポートまでを含めて一緒にトイレに足を運ぶ方がトイレ習慣の自立にしっかりつながります!
療育を受けているお子さんの中には大便の自立が特にゆっくりになる傾向があります。
よくある理由としては
・便秘気味
・筋力がまだ弱くてふんばるのが大変
・お尻を拭くのが難しい、またはわからない
これらは、長い道のりではありますが、食事習慣や水分補給量、遊びなどを通した体力つくり、トイレ動作の発達促進など育ちの発達の一環として見ていくことが大切です。
それからちょっと複雑な理由として・・・
・快・不快の感覚、ニオイの感覚が少し鈍い
・大人が「うんち」を汚いものと言うことから嫌悪している
なんていうことが大便の自立を送らせていることもあります。
療育を受けているお子さんは、主なハンディ以外にも育ちにくいところやゆっくり獲得していくスキル、バランスが良くない感覚などを併せ持っている傾向があります。
赤ちゃん時代からのおむつ替え、トイレ誘導、お風呂や着替え動作などを通して「汚れている」「キレイにする」「キレイになって気持ちいい」といった快・不快の感覚をしっかり身につけていきましょう。
大便の自立の大まかな年齢は視野に入れながらも、あまり焦らずに時間をかけても大丈夫です。
それから大便について大人が嫌悪感を強く出した表現をしていると子どもも「うんちをすること」がとてもイヤなこと、嫌いなこととして極端に避ける、身に付きにくいといったケースも時折あります。
大便が出ていることを知らせる時の「くさい、くさい」やおむつを替える時の促しの「ばっちいからキレイ、キレイしようね」といったおだやかな働き掛けは別として、大人の側の「汚いから困る」といった気持ちからでるやや重くるしい「汚い」といった表現を多くするのは、控えていけると良いかもしれませんね。
大変なこと、面倒なことは育ちのプロセスにはいくつもありますが、大人の適切な関わりと温かい手助けがあれば、一つ一つ階段を登り、しっかり超えていくことができます。
大きくなっていく過程においてお手伝いの内容や方法、働きかけや言葉がけを柔軟に変えたり、高めていったりしながらお子さんの育ちを見守り、支えていきましょうね。
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