なないろ教室の個別レッスンでは、自然なやりとり、遊び、関わりを大事にしていますが、時には「おぼえる(覚える・憶える)」ということも行います。
年末年始には、何人かのお子さんに「干支」を扱いました。その中で、親御さんに「ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い」と何も見ずに言ってもらうと、それを見聞きしていたお子さんは、「すごい!」と憧れを抱き、次のレッスンの時にはお子さんたちが自ら覚えて元気に発表してくれました。これも「おぼえる」です。
「なないろ教室」の階段には、「1ねんのうた」の歌詞が月ごとに1月から12月まで12枚貼ってあります。この絵が大好きなお子さんがいて、最初は、描いてある絵を親子で話し合いながら階段をのぼってきていました。親御さんからメロディを聞かれたのでお伝えすると、翌週には「♪おめでとう 1月 ♪つもるゆき 2月 ♪ひなまつり 3月…」と階段をのぼりながら歌ってくれました。これも「おぼえる」です。先日は降りるときに「♪クリスマス12月 ♪きくのはな 11月 ♪あおいそら 10月…」とリバースバージョンを歌ったそうです。まさに楽しく「おぼえる」です。
「おぼえる」というと
何かを暗記したり、暗唱したり、記憶したり、と勉強的なことを思い浮かべるかもしれません。もちろん、それらを行うこともあります。
しかし、子どもたちは、園の中でも実はおぼえなくてはならないことが山ほどあるのです。
少し、思い出してみましょう。
・朝の会…お当番さんのご挨拶
・歌…朝のお歌・お食事のお歌・おかえりのお歌
・行事…はじまりの挨拶(年長さんなどが行うことがあります)
・発表会…劇あそびのセリフ・挨拶
など
これらの積み重ねが就学後の「日直」になったときにお話することであったり、「校歌」をおぼえて歌うことであったり、生徒会や放送係などが決まった言葉を大きな集団に向けて話すことなどにつながっていきます。
高校生や大学生がアルバイトをする際も、ガソリンスタンドでもファーストフードでもお客さまへの接待用語は決まっており、覚えなくてはなりません。社会人になっても、プレゼンテーションや会議などでおぼえて言わなくてはいけないことなどがたくさんあります。
そういう意味でも長い一生の中で「おぼえる」ということをさけて通ることはできません。
先日、息子の保育参加に行くと、遊びの中でこんな歌が聞こえてきました。
♪ おにごっこする人この指とまれ はーやくしないと 消えちゃうぞ
まだまだ消えない まだ消えない ろうそく1本 消―えた
あとから来る人 知―らんぺっぺ ♪
そういえば、息子が家で私や娘を遊びに誘うときにも歌っていたなぁと思いだしました。子どもたちは、こんなことも自然に「おぼえる」のです。
時には、難聴児にとって騒がしい園の中で、朝の会のご挨拶やお歌などを聴こえだけでおぼえてくることが難しいこともあります。そんな時は、親御さんなりに園とうまく連携を取ってご家庭でフォローをすることが必要かもしれません。
しかし、遊びの中でのことは、お子さん自身が自発的にお友達の言っていることを「おぼえたい」「知りたい」「一緒に言いたい」という気持ちを抱くことが、「おぼえる」ことにつながるようにも思います。
そんな気持ちを上手に育てていきたいなぁと思いながら、楽しい「おぼえる」をレッスン中には親子にお伝えしています。