「食育」というと「手の込んだお料理を作らなくては」「栄養計算しないとダメかしら」「子どもひとりでさせないと」などなどブレーキがかかりがちです。
でもそんなことはありません。「食育」は「いつもの食事から」「いつもの食卓で」取り入れることなので大丈夫です。
乳幼児期に育てておきたい「子どもの姿」をイメージしながら、少しずつ「いつもの食卓」に「食育のエッセンス」を入れてみましょう。
まずは「乳幼児期に育てておきたい子どもの主な姿」をご紹介します。
①お腹がしっかりすくリズムを持てる子ども
★たくさん遊んで、しっかりお腹がすき、おいしく食べて、ゆっくり休む・・・こうしたメリハリがある生活が空腹感と満腹感をしっかり育て、食事をしっかりとる習慣と力を高めます。
★年齢に応じた表現で「おなかがすいた」と大人に伝えられることも大切です。赤ちゃんが泣くことで空腹を伝えているのは成長の証しです。
★「おなかがいっぱい」と伝えられる力も大切です。自分の適量を知ることは自分の体を正しく知ることにもつながります。
また、食事量の変化で体格、体力、体調の変化を知ることもできるので、日頃から空腹、満腹、食事量を伝えあうことが大切です。
②好きな食べ物、食べたい物があり、それらが年齢や経験に応じて増えていく子ども
★大好きな人と食卓を囲み、楽しい雰囲気の中で話題を共有することで、食は進みます。「みんなが食べているから、自分も口に入れてみようかな。」「みんなおいしそうに食べているから、食べてみたいなぁ。」と食べることへの興味や意欲にもつながります。
③一緒に食べたい人がいる子ども(家族、友だち、先生など安心でき、楽しく食事ができる人がいる)
★食育は赤ちゃんの頃から始まっています。お母さんにゆったりと抱かれ、ぬくもりと安心感の中でミルクを飲む・・・これが食育の第一歩です。
★おいしい食事、楽しい食卓、大好きな人(家族や友だち、先生など)・・・これらが整っている毎日の、いつもの食卓そのものが食育になっています。
「おいしいね。」と笑顔で伝えあえる関係の中で、食べ物への興味が広がり、少しずつ食べることが上手になっていきます。
④食事作りや準備、片付けに興味を持ち、楽しく関わる子ども
★食事の準備や片付けにも食育のきっかけが散りばめられています。
「まだ小さいから」「一人ではできないから」「自分でする方が早いから」と思いがちですが、一日の中で無理なく、もめずに、一緒に楽しめる「準備や片づけ」の場面を探してみましょう。
例えば、お店で一緒に野菜を見たり、かごに入れたり、買った野菜を持ち帰りの袋に入れたりすることも「食事の準備」です。
少し大きなお子さんはスーパーのチラシを見ながら買う物を決めたり、一緒にメニューを考えたりすることも楽しめます。
実際にキッチンで野菜を洗う、リビングでテーブルを拭く、コップやスプーンを運ぶなどを大人の手助けを受けながら年齢に応じた「食事の準備や片付け」に取り組めます。
こうした取り組みの積み重ねが「お手伝い」へと広がります。
★食事の準備をしながら「いいにおいがするね。おなかすいちゃった。」「ぐつぐつ煮てるからもう少し待っててね。」「今日はカレーだから、スプーンを出そうね。」「熱いからそーっとそーっと運ぶね。」など、食事に関わる楽しい話をする機会にもなります。
大人と一緒にする、大人の姿や動きを見ることも「食育」です。
⑤食べ物に興味を持ち、話題にする子ども
★買い物や栽培も大事な食育の場です。
日々の買い物で大人と一緒に旬の野菜や季節の食べ物を知ったり、近所の畑や木々に育っている野菜や果物の育ちを毎日確かめたりすることができます。そうした経験から食卓にあがる前の食べ物の状態を知り、大きくなったり、色が変わったりする様子を見ることにもなり、ワクワク感が育ちます。
★畑やプランターで実際に栽培するほかに、豆苗やカイワレなど室内で手軽に栽培できる野菜もあります。毎日の変化も大きいので小さいお子さんも楽しめます。
このように「食育」は大変なこと、難しいことではなく、いつもの食卓そのものが「食育」になります。
毎日の食事やお手伝いの中で、自然と食べ物や料理への興味や発見を持つようになります。
さらに、自分が実際にかかわることで、作ってくれる人への感謝の気持ちを育むことにもつながります。そうした気持ちの育ちから「いただきます」「ごちそうさまでした」を心を込めて言えるようになると思います。
いつもの食卓から食育を・・・ぜひ楽しんでみてください。